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気候科学:紀元1300年以降のヨーロッパの気候と農業を制御するジェット気流

Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07985-x

ジェット気流は、北半球中緯度域における気候変動の重要な動的駆動要因である。北大西洋–ヨーロッパ域ジェット気流緯度(EU JSL)の夏季の位置の現在の変動によって、気圧、気温、降水および干ばつの、北西ヨーロッパと南東ヨーロッパの間のダイポールパターンが促進されている。EU JSLの変動と、その地域的な極端な気候事象や社会事象への影響は、特に人為起源の気候温暖化以前に関してはよく分かっていない。今回我々は、気温に敏感な3種類のヨーロッパの年輪記録に基づいて、紀元1300~2004年の期間にわたる夏季EU JSL年々変動の復元を行い(R2 = 38.5%)、それを、独立した歴史的な気候記録、およびブドウの収穫高、穀物価格、疫病、死者数などの社会的記録と比較した。そして、紀元1300年までさかのぼる、EU JSL変動に関連した対照的な夏季の極端な気候事象と、山火事や疫病を含む、生物物理学的、経済的および人口統計への影響を明らかにする。変化したジェット気流の振る舞いと強化された極端な気候事象の予測という観点から、今回の知見は、増幅する将来の気候リスクを評価する際にEU JSL変動を考慮することの重要性を浮き彫りにしている。

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