Article

微生物学:遍在する海洋細菌が持つ超高親和性輸送タンパク質

Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07924-w

細菌SAR11は、海洋表面に最も大量に存在する生物地球化学的に非常に重要な微生物である。この細菌は、栄養分が乏しく競争の激しい海洋環境で繁栄できるように、膜の輸送タンパク質を介した特異的基質の取り込みを促進する溶質結合タンパク質に強く依存している。このような輸送タンパク質の機能と特性は、海洋での溶存有機物の吸収や栄養素の生物地球化学的循環に関わる重要な因子だが、これまで実験的な研究はほとんど行われてこなかった。今回我々はSAR11の原型菌の持つ全ての溶質結合タンパク質について、その性質をゲノム全体にわたって実験的に解析し、栄養分の乏しい環境でのSAR11菌の繁栄に役立っている特異的な機能とその特性の一般的傾向を明らかにした。まず、SAR11菌の溶質結合タンパク質は極めて高い結合親和性(解離定数> 20 pM)と高い結合特異性を持つことが分かり、低栄養環境に適応する分子機構が明らかになった。また、機能に関するデータから、SAR11菌の新しい炭素源が明らかになり、SAR11の基質取り込み能力の正確な生物地理学的解析が可能になった。この研究によって、海洋全体に広く見られる海洋細菌の基質取り込み能を包括的に知ることができ、海洋生態系における溶存有機物の吸収にこれらの菌がどのように寄与しているかを理解するのに必要な基盤が得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度