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構造生物学:完全に組み立てられたγδ T細胞抗原受容体の構造

Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07920-0

有顎類のT細胞は、αβ T細胞系統とγδ T細胞系統の2つからなり、所属する細胞が発現する抗原受容体、すなわちαβ T細胞受容体と(αβ TCR)γδ T細胞受容体(γδ TCR)によってそれぞれ特徴付けられる。2つの系統は異なる免疫学的役割を担っていて、γδ TCRは構造的により多様なリガンドを認識するのに必要とされる。それにもかかわらず、これらの受容体は、シグナル伝達を開始するのに、共通のCD3サブユニットを用いている。αβ TCRの構造学的構成は解明されているが、γδ TCRの構造は知られていない。今回我々はクライオ電子顕微鏡を用いて、完全に組み立てられてMR1と反応する、ヒトVγ8Vδ3 TCR–CD3δγε2ζ2複合体について、抗CD3ε抗原Fabフラグメントと結合した状態の構造を決定した。γδ TCRとαβ TCR中のCD3サブユニットの配置は保存されており、TCR-γδサブユニットとTCR-αβサブユニットの膜貫通αヘリックス群は配列が大きく異なっているにもかかわらず、8本の膜貫通ヘリックスからなるバンドルのパッキング状態は類似していた。しかし、αβ TCRの状態は見たところ不変であるのと対照的に、γδ TCRのコンホメーションにはかなりの不均質性が見られたが、これはリガンドを結合するTCR-γδサブユニットがCD3サブユニットに膜貫通領域のみで結合しているためである。Vγ8Vδ3 TCR可変ドメインのαβ TCRへの移動によりこのコンホメーションの不均質性を低下させると、受容体のシグナル伝達が増強され、これはγδ TCRの構成が、効率の良いシグナル伝達と構造的に多様なリガンドを捕捉する能力の間の歩み寄りを反映していることを示唆している。我々の知見は、進化レベルの長い時間スケールでのTCRの注目すべき構造的可塑性を明らかにしたもので、固定された構造と柔軟な構造のどちらでもシグナル伝達を開始できる非常に融通が利く受容体として、TCRを見直すものである。

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