進化遺伝学:反復的な進化と選択がアミラーゼ座位の構造多様性を形作る
Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07911-1
農耕の採用は、ヒト集団においてデンプンに富む食餌への急激な変化を引き起こした。アミラーゼ遺伝子はデンプンの消化を促進し、デンプン摂取量の多い一部の現代人集団ではアミラーゼ遺伝子のコピー数の増加が観察されているが、選択が最近起きたことを示す証拠は不足している。本研究で我々は、ハプロタイプが明らかにされている94のロングリードアセンブリと、約5600人の現代人および古代人から得られたショートリードデータを用いて、アミラーゼ座位における構造バリアントの多様性および進化史を明らかにした。その結果、農耕を行う集団は、漁労や狩猟、牧畜を行う集団よりもアミラーゼ遺伝子のコピー数が多いことが明らかになった。また、アミラーゼの構造的な構成が28種類見いだされ、ほぼ同一の構造群が、最近の人類史において異なるハプロタイプ状況で反復的に出現したことが示された。AMY1遺伝子とAMY2A遺伝子は、それぞれ複数回の重複/欠失事象を経ており、変異率は最高で一塩基多型(SNP)の変異率の1万倍以上に達するが、AMY2B遺伝子の重複は単一の起源を共有していた。パンゲノムに基づく手法を用いて、数千人の構造ハプロタイプを推定したところ、広範な重複が見られるハプロタイプが現代の農耕集団に高頻度で見いだされた。さらに、533例の古代人ゲノムを利用することで、重複を含むハプロタイプ(祖先型のハプロタイプより遺伝子コピーが多い)の頻度が過去1万2000年にわたって西ユーラシア人において急激に増加したことが明らかになり、正の選択が示唆された。まとめると我々の研究は、農業革命がヒトゲノムに与えた可能性のある影響、およびヒトの適応における構造バリアントの重要性を明らかにしている。

