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動物行動学:交尾を間近にすると脅威の知覚能力が失われる

Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07890-3

恋に落ちると感覚知覚に偏りが生じることがある。この「恋は盲目」状態は、起こり得るリスクよりも切望している報酬の追求を優先するという、生物に広く共通する行動原理を反映している。動物の求愛行動では、そうした感覚の偏りは繁殖の成功を後押しする可能性があるが、個体を捕食などの危険にさらす可能性もある。しかし、神経ネットワークが、このリスクと報酬の間のトレードオフのバランスをどのように取っているかは不明である。本研究で我々は、雄のショウジョウバエ(Drosophila)において、求愛行動が進むにつれて脅威の知覚能力を低下させる、ドーパミンが支配するフィルター機構を発見した。我々は、求愛行動の初期段階では、脅威によって活性化される視覚ニューロンが、特定のセロトニン作動性ニューロンを介して中枢の求愛ノードを抑制することを示す。このセロトニン作動性の抑制は、ハエが差し迫った危険を察知したときに求愛行動の中断を促す。しかし、ハエの求愛行動の過程が進むにつれ、このドーパミン作動性のフィルターシステムは脅威に対する視覚反応を低下させ、バランスを生存から交尾へと移行させる。交尾行動に近づいている際の雄の神経活動を記録したところ、求愛行動における進行がドーパミン作動性の活動レベル上昇として現れることが明らかになった。このドーパミンシグナル伝達が、Rop2R受容体を介して脅威の視覚的検出経路を抑制することで、交尾が間近になった雄のハエは求愛に集中できるようになる。このように、ドーパミンシグナル伝達は、知覚される目標までの近さに基づいて感覚知覚を偏らせ、競合する行動の間の優先順位を付けている。

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