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ウイルス学:高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの乳牛へのスピルオーバー

Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07849-4

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1ウイルス(クレード2.3.4.4b)は2022年1月以来、米国において数百万羽の家禽や数千羽の野鳥の死因となっている。このアウトブレイク(集団発生)の期間を通して、哺乳類へのスピルオーバー(異種間伝播)が頻繁に報告されてきた。本論文で我々は、米国の複数の州にまたがったHPAI H5N1ウイルスの乳牛へのスピルオーバーについて報告する。罹患した乳牛は、飼料摂取の低下や糞便の硬さの変化、呼吸窮迫、異常乳を伴う乳産生低下などの臨床症状を呈した。罹患した乳牛由来の乳中では、感染性ウイルスとウイルスRNAが一貫して検出された。免疫組織化学やin situハイブリダイゼーションにより組織内ウイルス分布を調べたところ、このウイルスが乳牛の乳腺腺房を裏打ちしている上皮細胞に対して明確な指向性を持つことが明らかになった。感染が起こった農場の乳牛や鳥、イエネコ、アライグマから回収された全ウイルスゲノム塩基配列から、多方向への種間伝播が示された。疫学データやゲノムデータからは、感染が起こった農場の見かけ上健康な乳牛を別の州の敷地へ移送した後に、乳牛間での伝播が効率良く起こっていることが明らかとなった。これらの結果は、従来の接点以外でのHPAI H5N1クレード2.3.4.4bウイルスの伝播を実証しており、このウイルスが持つ種間バリアを越える能力が浮き彫りとなった。

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