Article
気候科学:気候のオーバーシュートに対する過信の問題
Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-08020-9
世界の排出削減努力は、パリ協定の気温目標を達成するためには不十分なままである。そのため、目標とする地球温暖化の限界を一時的に超えた後により安全なレベルまで気温を戻す、いわゆるオーバーシュート経路を系統的に調査することが、科学と政策にとっての優先事項になる。今回我々は、オーバーシュート後の全球および地域的な気候変動とそれに関連するリスクは、オーバーシュートを回避する世界とは異なることを示す。我々は、全球の気温低下を達成することで、単に地球温暖化を安定化させる場合と比較して、海水準上昇や雪氷圏の変化など、長期の気候リスクを制限できることを見いだした。しかし、地球温暖化が何十年も先の将来に逆転する可能性は、現在の適応計画にはあまり関係ないかもしれない。気温の逆転は、短期での高い温度上昇と長期にわたる継続した温度上昇をもたらす強力な地球システムのフィードバックによって弱められる可能性がある。我々は、高リスクの結果から防御するには、地球物理学的に、数百ギガトンの予防的な二酸化炭素除去能力が必要であることを特定した。しかし、技術的、経済的、持続可能性の考慮により、そうした規模での二酸化炭素除去の展開の実現は制限される可能性がある。従って、オーバーシュート後の気温低下が、現在予想される時間スケール内で達成できるとは確信できない。気候リスクの低減には、短期の急速な排出削減のみが効果的である。

