Article

心血管生物学:若年期の間欠的な高脂血症は組織マクロファージを変化させてアテローム性動脈硬化を増進する

Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07993-x

高脂血症は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の主なリスク要因である。心血管イベントのリスクは、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)への生涯累積曝露値や、これとは独立した、LDL-Cへの曝露の経時的変化に依存していて、若年期の曝露はより高いリスクと関連している。さらに、LDL-Cの増減はASCVDの転帰と関連がある。しかし、このASCVDリスク上昇の背景となる正確な機構は解明されていない。今回我々は、マウスに高コレステロールの西洋型食餌(WD)を若年期から間欠的に与える場合は、その後の期間に継続的にWDへ曝露する場合と比べて、累積循環血中LDL-Cレベルは同程度であるにもかかわらず、アテローム性動脈硬化が加速することを見いだした。若年期の間欠的な高脂血症は、常在型様の動脈マクロファージにおいて、数と恒常的な表現型を変化させていた。また、ゲノム規模関連解析では、発現が変化したマクロファージ遺伝子群が、ヒトASCVDに関連する遺伝子群の中に豊富に認められた。そして、LYVE1+常在型マクロファージはアテローム形成抑制性であること、アクチンフィラメントの構成に関わる生物学的経路も分かってきた。この経路の変化はアテローム性動脈硬化を加速した。さらに、若年フィンランド人研究を用いて、若年期のコレステロールへの曝露が中年期の頸動脈アテローム性動脈硬化性プラークの発生率とサイズに有意に関連していることが示された。まとめると、我々の結果は、若年期の間欠的なコレステロール曝露がアテローム性動脈硬化を加速させる強力な決定要因であることを明確にしており、若年期の高脂血症の最適な制御の重要性をはっきりと示すとともに、根底にある生物学的機構についての手掛かりを提示している。この知見は、ASCVDと闘うための効果的な治療戦略を設計するために不可欠なものとなるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度