古生物学:ブラジルの化石から明らかになった、最古の哺乳類型顎関節におけるホモプラシー
Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07971-3
荷重を支える歯骨–鱗状骨間の顎関節の獲得は、哺乳類進化における重要な段階の1つであった。この新機軸は数十年にわたって研究されてきたが、哺乳類様の頭蓋–顎間接触が進化した時期や頻度に関しては不明な点が残っており、その解明は、非哺乳型類のキノドン類(犬歯類)から哺乳型類への移行期をカバーする三次元データの不足によって妨げられている。非哺乳型類キノドン類である派生的なプロバイノグナトゥス類が南米で新たに複数発見されたことは、この議論に大きく寄与すると考えられる。本研究で我々は、この課題に取り組むため、マイクロCT(コンピューター断層撮影)スキャンを用いて、カギとなる3種のプロバイノグナトゥス類キノドン類(哺乳型類の姉妹群に属するBrasilodon quadrangularis、トリテレドン類に近縁なRiograndia guaibensis、トリティロドン類のOligokyphus major)の顎関節の構造を復元した。その結果、哺乳型類への移行の過程において顎関節にホモプラシー的な進化が見いだされ、イクチドサウルス類(Riograndiaおよびトリテレドン類)が、歯骨–鱗状骨間の接触を、この特徴が後期三畳紀の哺乳型類で最初に出現する約1700万年前に独自に進化させたことが明らかになった。また、Brasilodonは、以前の報告とは異なり、初期的な歯骨の関節丘および鱗状骨の関節窩を欠き、その顎は原始形質的な方形骨–関節骨間の接合のみを用いて連結されていた。我々は、こうした顎関節が、プロバイノグナトゥス類キノドン類において顕著な進化的変化を遂げたと考える。プロバイノグナトゥス類の一部のクレードは独自に頭蓋–下顎間の「二重」の接触を獲得し、哺乳型類は後期三畳紀において、明確な歯骨関節丘と鱗状骨関節窩を有する歯骨–鱗状骨関節を全く独自に獲得した。従って、これまで典型的な哺乳類の特徴と考えられてきた歯骨–鱗状骨間の接触は、複数回進化した、従来想定されていたより進化的に柔軟な特徴であることになる。

