生化学:相同組換えでのBRCA1–BARD1によるDNA末端リセクションの促進
Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07910-2
相同組換えによるDNA二本鎖切断修復のライセンシング段階では、RAD51リコンビナーゼと補助因子からなる修復装置を組み立てるために、一本鎖DNAである鋳型をDNA末端切除(リセクション)により作り出さなくてはならない。DNA末端のリセクションは機構的に複雑で、腫瘍抑制因子複合体BRCA1–BARD1に依存している。具体的には、3つの異なるヌクレアーゼ、つまり5′–3′エキソヌクレアーゼであるEXO1と、ヘリカーゼのBLMまたはWRNのどちらかとDNAエンドヌクレアーゼDNA2とからなるヘテロ二量体複合体が相乗的に作用して、末端リセクション過程を実行する。この反応での主な疑問点は、BRCA1–BARD1が末端のリセクションを直接調節するかどうかである。今回我々は、高度に精製されたタンパク質因子を用いて、BRCA1–BARD1がEXO1、BLMおよびWRNと物理的に相互作用することの証拠を示す。再構成された生化学システムを使い、単一分子解析を行うことにより、BRCA1–BARD1が3つのリセクション経路全ての活性を上方調節することが分かった。また、BRCA1およびBARD1には単独で働くモジュールが含まれていて、これらはBRCA1–BARD1の全体的な機能に関わっていることも明らかになった。さらに、DNA結合が損なわれた変異型BARD1の解析により、in vitroおよび細胞内の両方で、末端リセクションにはBARD1のこのDNA結合能が重要であることが示された。従って、BRCA1–BARD1は、ヒト細胞での相同組換えの間に、これら3つの長距離にわたるDNA末端リセクション経路全ての効率を高めている。

