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がん:骨へのがん浸潤に対する骨膜の間質性防御
Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07822-1
骨膜は全ての骨の表面のほぼ全体を覆っている細胞層である。感染、外傷、腫瘍などの侵害刺激の際には、骨表面で「骨膜反応」と呼ばれる新しい増殖現象が起こるが、その生理学的意義や分子機構は不明であった。本論文で我々は、骨膜反応が骨へのがん浸潤を防ぐことを示す。頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者の病理組織を用いた解析により、腫瘍の近傍で骨膜の肥厚が生じることが示された。次いで、遺伝学的解析が可能なHNSCCマウスモデルを開発し、骨膜細胞を除去したところ、骨へのがん浸潤が加速することが明らかになった。単一細胞RNA塩基配列解読により、前浸潤段階の骨膜でプロテアーゼ阻害因子TIMP1をコードする遺伝子の発現が著しく上昇することが示された。この増加は、腫瘍微小環境でのHIF1αの発現上昇によるもので、増加したTIMP1はマトリックス分解プロテアーゼを不活性化して骨膜の肥厚を促し、がん浸潤を抑制する。Timp1遺伝子を遺伝学的に欠失させると、骨膜の拡大が起こらなくなり、がんの骨浸潤が増悪して、担がんマウスの生存率が低下した。以上のデータから、骨膜反応は腫瘍の進展に対する機能的な間質性防御として働く可能性が示され、間質細胞を介する組織免疫のユニークな例が明らかになった。

