Perspective

創薬:手頃な価格の遺伝子治療に向けたロードマップ

Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07800-7

米国食品医薬品局(FDA)はこれまでに20種類の遺伝子治療を承認しており、その中には、初のCRISPRゲノム編集治療薬である、鎌状赤血球症に対するCASGEVY(一般名exagamglogene autotemcel、バーテックス・ファーマシューティカルズ社)も含まれる。この途方もなく画期的な出来事は、これまで難治性であった遺伝病やがんに対する将来のゲノム編集治療として有望であることから、広く称賛されている。同時に、このような遺伝子治療は市場においては最も高価な医薬品であり、定価は患者1人当たり400万米ドルを超える。承認された細胞治療や遺伝子治療の基礎を築いたのは全て学術機関や政府研究機関であるが、その後の開発や商品化を営利目的の製薬企業に依存しているため、投資の回収を優先した価格設定につながり、失敗した候補製品の開発費を埋め合わせたり、投資家や株主の期待に応えたりすることになる。こうした治療を手頃な価格で利用しやすくするには、システム全体の欠陥に対処する、発見から上市までの過程にわたる持続可能な代替手段が必要である。本論文で我々は、そのような道筋を切り開くために結成された学際的タスクフォースの提言を示す。我々は、導入すれば患者当たりのコストを10分の1に削減できる価格設定構造を提示するとともに、多様な資金源を活用しながら責任を分散させるビジネスモデルを提唱する。また、学術ライセンス条項、製造技術革新、支援的規定が、どのようにコストを削減し、より広い患者治療を可能にするかについても概説する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度