心血管生物学:高脂肪食の交互摂取は、好中球の再プログラム化によってアテローム性動脈硬化を促進する
Nature 634, 8033 doi: 10.1038/s41586-024-07693-6
慢性の高コレステロール血症が引き起こす全身性の免疫応答は、アテローム性動脈硬化の開始、進行、合併症の原因の1つとなる。しかし、人は時間がたつと食習慣も変化することが多く、高脂肪食(HFD)の交互摂取がアテローム性動脈硬化に与える影響はいまだによく分かっていない。今回我々は、この問題に取り組むため、アテローム性動脈硬化になりやすいマウスを用いたプロトコルを考案して、全体的なHFD投与期間は同様に保ちつつ、交互HFDと継続的HFDの比較を行った。すると、Ldlr−/−マウスとApoe−/−マウスでは、継続的HFDに比べて交互HFDの方が、アテローム性動脈硬化を加速することが分かった。交互HFDが示すこのアテローム生成促進作用は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞を持たないApoe−/−Rag2−/−マウスでも見られたことから、ここで観察された表現型に適応免疫系が役割を果たしている可能性は除外された。交互HFD群ではHFDの中断がRUNX1の発現を低下させ、骨髄球系前駆細胞の炎症性シグナル伝達を促進した。骨髄球系前駆細胞は、HFD再開後にIL-1βを産生し、この結果、緊急の骨髄造血が起こり、血中の好中球レベルが上昇した。好中球はプラークに浸潤して、好中球細胞外トラップを放出し、これによってアテローム性動脈硬化が悪化した。好中球を特異的に枯渇させたり、IL-1β経路を阻害したりすると、緊急の骨髄造血が起こらず、交互HFDのアテローム生成促進作用がなくなった。この研究により、交互HFDによって誘発されるアテローム性動脈硬化の加速に、好中球前駆細胞のIL-1βに依存した再プログラム化が役割を果たしていることが明確になった。

