Article

化学生物学:タンパク質輸送の共役を介した標的タンパク質の再局在化

Nature 633, 8031 doi: 10.1038/s41586-024-07950-8

タンパク質の細胞内局在性はタンパク質の機能を調節しており、がんや神経変性疾患ではこの局在性が損なわれている場合がある。疾患を促進する表現型に対処するために局在性を修正できれば、有望な標的化治療法となる可能性がある。往復運動するシャトルタンパク質のトラフィッキングを利用して標的タンパク質の細胞内局在化を制御する分子があれば、タンパク質を標的化して再局在化させ、インタラクトームを作り直せる可能性がある。今回我々は、TRAM(targeted relocalization-activating molecule)への取り込みに適した強力なリガンドを持つシャトルタンパク質群を見つけ出し、これを使って内在性タンパク質の再局在化を行った。カスタム画像分析(custom imaging analysis)パイプラインを使って、タンパク質定常状態の局在性は、十分に強力な局在化配列を含み、必要量が発現されているシャトルタンパク質分子に結合させることによって調整可能であると分かった。さまざまなタンパク質についてTRAMに誘導された再局在化を解析し、次いで核ホルモン受容体をシャトルタンパク質として用いて、SMARCB1Q318X、TDP43ΔNLS、FUSR495Xなどの疾患促進性変異タンパク質の分布を変化させた。細胞ストレスのモデルにおいて、FUSR495XをTRAMを介して細胞質から核へと戻して再局在化させたところ、それに伴ってストレス顆粒数が減少した。メチオニルアミノペプチダーゼ2を内在性の細胞質シャトルタンパク質として、またポリADP-リボースポリメラーゼ1を核シャトルタンパク質として使うと、内在性PRMT9、SOS1、FKBP12の再局在化が起こることが実証された。ニコチンアミドヌクレオチドアデニル基転移酵素1を、小分子を介した再配置によって核から一次ニューロン軸索へと配置替えすると、軸索の変性を遅らせることができ、また、ある種の神経変性に耐性を持つマウスで遺伝的WldS機能獲得表現型を薬理学的に模倣することができた。従って、標的タンパク質を再局在化させるというこの考え方は、インタラクトームの作り直しによる疾患治療という方法に刺激をもたらすかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度