昆虫学:ハエ成虫への捕食寄生者としては初めての、ショウジョウバエ属を宿主とする新種の寄生バチ
Nature 633, 8031 doi: 10.1038/s41586-024-07919-7
捕食寄生バチは極めて多様で、宿主生物の生理および行動を操作し得る特殊な適応を用いている。ショウジョウバエ属(Drosophila)に寄生するハチが最初に記録されたのは2世紀以上前で、以来、ショウジョウバエ科昆虫の捕食寄生者は、記載済みのものと未記載のものを合わせて200種近くが発見されている。これらには内部捕食寄生者と外部捕食寄生者が含まれ、また、幼虫や蛹を宿主として攻撃する種が存在する。研究対象としての歴史が長く、生物多様性が顕著であるにもかかわらず、成虫期のハエを宿主として攻撃し、その体内で成長するハチ種はこれまで記載例がない。本論文で我々は、生物学において最も詳細に研究されているモデル生物の1種であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を含む、ショウジョウバエ属のハエの成虫期に感染するハチ種を発見したことを報告する。特筆すべき点として、このハチは裏庭に設置したハエ用の餌から容易に採集することができ、米国東部全域にわたる広い地理的分布を持つ。我々は、このハチの生活史および宿主との独特な相互作用(ハエ成虫体内への産卵やハエ成虫からの幼虫の出現など)を明らかにするとともに、野生で捕獲したハエ宿主からこのハチを育てるプロトコルを提示する。今回の結果は、昆虫の生物多様性および分類学の分野への継続した研究投資の必要性を強調している。捕食寄生者の研究によって、特殊な生物学的性質が発見され、免疫、代謝、生態、進化、行動に関する機構の基本的な洞察が支えられ続けていることから、我々は、このハチと実験室モデル生物のキイロショウジョウバエとの関連が、生命科学全般において新たな研究機会をもたらすと期待する。

