構造生物学:高親和性IgE受容体であるFcεRI複合体についての構造的考察
Nature 633, 8031 doi: 10.1038/s41586-024-07864-5
免疫グロブリンE(IgE)はアレルギー反応に極めて重要な役割を果たしている。高親和性IgE受容体であるFcεRIはマスト細胞と好塩基球に存在し、IgEのエフェクター機能の中核となっている。FcεRI複合体は四量体で、FcεRIα、FcεRIβ、それにFcRγ(当初はFcεRIγ)のホモ二量体からなり、FcεRIαがIgEのFc領域(Fcε)を認識し、FcεRIβ–FcRγがシグナル伝達を促進する。また、FcRγはIgG(FcγRIとFcγRIIIA)およびIgA(FcαRI)を含む、他の免疫グロブリン受容体の重要な成分である。しかし、FcεRIを組み立てる際の分子基盤とFcRγの構造はまだ明らかになっていない。今回我々は、Fcε–FcεRI複合体のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにした。FcεRIαは、FcεRIβおよび2つのFcRγサブユニットの両方と相互作用して、受容体組み立てに重要な役割を果たしている。FcεRIβはコンパクトな4本へリックスバンドルという構造で、これはB細胞抗原CD20の構造と類似している。FcRγ二量体は非対称な構造を示していて、FcεRIαの膜貫通領域にらせん状に巻き付いて、3本のヘリックスからなるバンドルを形成している。1個のコレステロール様分子が、FcεRIβとFcεRIα–FcRγ複合体間の相互作用を増強している。我々の変異導入解析からはさらに、FcRγとFcεRIα、およびFcRγとFcγRIIIAとの相互作用の類似性が示唆されたが、FcαRIとの相互作用は異なっていることが示された。これらの知見により、FcεRIのシグナル伝達機構についての我々の理解が深まり、FcRγに依存する他の免疫受容体の機能についての知見が得られた。

