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がん:ミトコンドリア複合体Iは腎臓がんの転移を促進する

Nature 633, 8031 doi: 10.1038/s41586-024-07812-3

ほとんどの腎臓がんでは代謝的な機能不全が見られるが、この機能不全がヒトでのがんのプログレッションにどのような影響を及ぼすのかは不明である。本研究で我々は、80人以上の腎臓がん患者を対象に、外科的腫瘍切除中に13C標識した栄養素を注入した。[U-13C]グルコースによる標識は、がんのサブタイプによって異なっていたため、腎臓の環境だけでは腫瘍代謝再プログラム化の全てを説明できないことが分かった。淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)では、隣接する腎組織と比較して、in vivoおよびex vivoの器官型培養でトリカルボン酸(TCA)回路中間体の標識化が抑えられていたことから、標識化の抑制は組織内因的であることが示された。患者への[1,2-13C]酢酸および[U-13C]グルタミンの注入を、ヒトの腎臓と腫瘍から単離したミトコンドリアの呼吸測定と組み合わせたところ、ccRCCの電子伝達鎖活性の低下が、酸化的TCA回路標識の低下と還元的TCA回路標識の増強に関与していることが明らかになった。一方、ccRCCの転移では原発性ccRCCと比較して、TCA回路の標識が予想外に増強されており、これは、患者での転移中に代謝プログラムが分岐することを示している。マウスでは、腎臓がん細胞での呼吸やNADHリサイクルの刺激が転移を促進させるのに十分であったのに対し、電子伝達鎖複合体Iの阻害は転移を減少させた。ヒトとマウスにおける以上の知見は、腎臓がんのプログレッションの間に代謝的な特性と脆弱性が進化し、ミトコンドリア機能は転移を制限するものの、原発部位での増殖は制限しないことを示している。

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