Article
惑星科学:月の高緯度域におけるチャンドラヤーン3号のAPXS元素存在量測定
Nature 633, 8029 doi: 10.1038/s41586-024-07870-7
月面の元素組成は、月の形成と進化の機構について手掛かりを与える。これまで月のレゴリスの化学組成は、アポロ計画、ルナ計画、嫦娥5号ミッションで赤道域から中緯度域において採取されたサンプル、月のどこに由来するか分からない月隕石、そして、嫦娥3号および4号ミッションによる月の中緯度域でのin situ測定を用いて精密に測定されてきた。本論文で我々は、インドのチャンドラヤーン3号ミッションの探査車「プラギャン(Pragyan)」に搭載されたα粒子X線分光計(APXS)による、月の南半球の高緯度域での初めての元素存在量in situ測定の結果を報告する。チャンドラヤーン3号の着陸地点近傍における23回の測定から、この地域の局所的な月の地形はかなり均一で、主に月のマグマオーシャン(LMO)の結晶化生成物である鉄に富む斜長岩(FAN)で構成されていることが分かった。しかし、APXS測定では、カルシウムに対するマグネシウムの存在量が相対的に高いことが観測され、これはより多くの苦鉄質物質の混合を意味している。チャンドラヤーン3号の着陸地点周辺の数十メートルにわたる組成の均一性は、リモートセンシング観測のための優れた地上検証データ(グランドトゥルース)となる。

