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ナノスケール材料:遷移金属ジカルコゲニドの光酸化還元的相エンジニアリング
Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07872-5
結晶学的相エンジニアリングは、材料の物理的特性や電子的特性の精密制御において重要な役割を果たす。二次元遷移金属ジカルコゲニド(2D TMD)において、n-ブチルリチウム(n-BuLi)という有機金属化剤による化学的リチオ化を用いて半導体2H(三方晶)相を金属1T(八面体)相に変換する相エンジニアリングは、トランジスター、触媒反応、電池などの分野への応用向けに広く研究されてきた。この化学的相エンジニアリングは常温常圧下で実施できるものの、その基礎となる機構はほとんど理解されておらず、n-BuLiの使用については安全上の大きな懸念がある。今回我々は、単層2D TMDと2層2D TMDにおける2H相から1T相への典型的な相転移を光学的に可視化し、この反応が、455 nmの低パワー光照射を用いることで最大6桁まで加速できることを発見した。我々は、ギャップを超える光照射によって、律速している電荷移動速度が光酸化還元過程を通して向上することを明らかにした。そして、この手法を用いて、TMDの高速かつ質の高い相エンジニアリングを達成するとともに、この方法を利用すれば、回折限界のエッジ分解能で数層TMDに任意の相パターンを刻めることを実証する。さらに我々は、自然発火性のn-BuLiをより安全な多環芳香族有機リチオ化剤に置き換え、その相転移剤としての性能がn-BuLiの性能を上回ることを示す。今回の研究は、電気化学的過程のin situ特性評価を検討する機会を開くとともに、光酸化還元的相エンジニアリングによる材料とデバイスの持続的スケールアップへの道を開くものである。

