環境科学:削減策の効果的な実現によるHFC-23排出低減の可能性
Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07833-y
HFC-23は強力な温室効果ガスであり、主にHCFC-22の合成および処理時に望ましくない副生成物として排出される。これまで、クリーン開発メカニズム(CDM)や各国の取り組みは、HFC-23排出削減技術の実施を必要としていた。しかし、2015〜2019年に、大気観測結果から導出された全球の排出量と報告された削減量から予想された排出量の間に相違があることが見いだされた。主としてこれは、削減戦略の実施が不十分であり、個々の化学施設レベルで排出量を独立して検証する必要があることを示している。今回我々は、地域別の大気観測結果と、意図的に放出された新しいトレーサーを用いて、廃ガス破壊技術を備えたHCFC-22とフッ素樹脂の製造施設からのHFC-23排出量を定量化した。その結果、推定された0.19%(0.13~0.24%)というHFC-23/HCFC-22排出係数が、削減プロジェクトにとって実際的と見なせる排出係数の範囲内にほぼ収まることが見いだされた。HCFC-22の全球生産量に外挿すると、適切な破壊技術の運用によってHFC-23の全球排出量が少なくとも84%(69~100%)(14 〔12~16〕 Gg yr−1)削減される可能性があることが浮き彫りになった。この削減量は、2019年における航空機からのCO2排出量の17%に相当する。我々はまた、別の副生成物で温室効果ガスであるPFC-318の同時破壊も実証する。今回の知見は、ヒドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)とヒドロフルオロカーボン類(HFC)の製造施設から排出されるHFC-23を「実際上可能な限り」破壊することを2020年から関係国に義務付ける、2016年のモントリオール議定書キガリ改正の重要性を示している。

