生理学:PTERは摂食と肥満を調節するN-アセチルタウリンヒドロラーゼである
Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07801-6
タウリンは条件的な必須微量栄養素で、ヒトで最も多く含まれるアミノ酸の1つである。内因性のタウリン代謝では、専用の酵素が、システインからのタウリン生合成やタウリン二次代謝物の下流代謝に関与している。タウリン代謝物の1つにN-アセチルタウリンがある。N-アセチルタウリンのレベルは、持久運動や食餌によるタウリン補給、アルコール摂取といった、タウリンまたは酢酸のフラックスを変化させる刺激によって動的に調節されている。これまでのところ、N-アセチルタウリンの代謝に関与する酵素の正体は分かっておらず、N-アセチルタウリン自体が持ち得る機能についても不明である。今回我々は、ボディーマス指数(BMI)に関連するオーファン酵素のPTER(phosphotriesterase-related)が、生理的なN-アセチルタウリンヒドロラーゼであることを示す。in vitroでは、PTERはN-アセチルタウリンからタウリンと酢酸への加水分解を触媒する。マウスでは、PTERは腎臓、肝臓、脳幹で発現している。マウスでPterを遺伝的に除去すると、組織のN-アセチルタウリン加水分解活性が完全に失われ、全身でN-アセチルタウリンレベルが増加した。タウリンレベルを増加させる刺激の後、Pterノックアウトマウスでは食物摂取量の減少、食餌誘導性肥満に対する抵抗性、グルコース恒常性の改善が見られた。肥満の野生型マウスにN-アセチルタウリンを投与した場合も、GFRALに依存した様式で食物摂取量と体重が減少した。これらのデータは、PTERをタウリン二次代謝の中心的な酵素ノードに位置付け、PTERとN-アセチルタウリンが体重制御とエネルギーバランスにおいて果たす役割を明らかにするものである。

