がん:ニューロンのサブスタンスPは細胞外RNA–TLR7軸を介して転移を推進する
Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07767-5
腫瘍の神経支配は複数のがんで患者の転帰の悪化に関連しており、これは、神経支配が転移を調節している可能性を示唆している。今回我々は、マウスの転移性の高い乳腺腫瘍が、転移性の低い腫瘍に比べて、より多くの神経支配を受けていることを観察した。このような神経支配の亢進は、腫瘍の脈管構造における軸索ガイダンス分子SLIT2の発現によって引き起こされる。乳がん細胞は、感覚ニューロンで自発的なカルシウム活動を誘発し、神経ペプチドであるサブスタンスP(SP)の放出を引き起こす。我々は、三次元共培養とin vivoモデルを用いることで、ニューロンのSPが乳腺腫瘍の増殖と浸潤、転移を促進することを発見した。SPが上昇している患者の腫瘍では、リンパ節への転移性拡散の促進が見られた。SPは腫瘍のタキキニン受容体(TACR1)に作用して、少数のTACR1highがん細胞集団の細胞死を引き起こす。死にかけた細胞から放出される一本鎖RNA(ssRNA)が、周辺の腫瘍のToll様受容体7(TLR7)に作用して、転移促進性の遺伝子発現プログラムを非カノニカルに活性化することが分かった。SPとssRNAが誘導するこのTlr7遺伝子発現シグネチャーは、乳がんの生存転帰の減少に関連していた。承認済みの制吐剤であるTACR1アンタゴニストのアプレピタントを用いて、この神経–がん軸を治療標的とすると、複数のモデルで乳がんの増殖と転移が抑制された。これらの知見は、腫瘍が誘導する感覚ニューロンの過剰な活性化が、治療標的となり得る神経ペプチドや細胞外ssRNAを感知する軸を介して、乳がんの転移のプログレッションのさまざまな側面を調節していることを明らかにしている。

