Perspective
遺伝学:ゲノムの多様性が機能に及ぼす影響を解明する
Nature 633, 8028 doi: 10.1038/s41586-024-07510-0
ヒトゲノムは、分子や細胞の機能から健康や疾患の表現型まで、ヒトの生物学的性質のほぼ全ての面に影響を及ぼしている。DNA塩基配列の個人差(ゲノムの多様性)を研究することで、ヒトの生物学的性質のこれまで知られていなかった機構が示されたり、遺伝的な疾患素因の基盤が明らかになったり、新しい診断ツールや治療薬の開発が導かれたりする可能性がある。しかし、ゲノムの多様性がどのようにゲノム機能を変化させて表現型に影響を及ぼすかを理解するのはこれまで困難であった。これらを解明する手掛かりを得るには、ゲノム機能や、ゲノムバリアントが分子や細胞に及ぼす影響についての系統的で包括的なカタログが必要である。この目標に向けて、IGVF(Impact of Genomic Variation on Function)コンソーシアムは、単一細胞マッピング、ゲノムの摂動、予測モデル化の手法を組み合わせて、ゲノムの多様性、ゲノム機能、表現型の間の関係を調べる。IGVFは、数百の細胞タイプや細胞状態にわたるマップを作製して、コードバリアントがタンパク質の活性をどのように変化させるのか、非コードバリアントがどのように遺伝子発現の調節を変化させるのか、そして、そのような影響が遺伝子調節ネットワークやタンパク質相互作用ネットワークを介してどのように結び付くのかを説明する。これらの実験データ、計算による予測、付随する基準やパイプラインは、オープンリソースとして統合され、これによってヒトゲノムがさまざまな集団で生物学的性質や疾患にどのような影響を及ぼすかを探索するコミュニティーの取り組みが触発されることだろう。

