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神経科学:プラセボ効果による疼痛緩和の神経回路基盤

Nature 632, 8027 doi: 10.1038/s41586-024-07816-z

プラセボ効果は、心と体の相互作用の顕著な実例である。疼痛知覚中に、他の治療手段なしに、疼痛緩和の期待だけで疼痛の経験を減らすことができ、この現象はプラセボ鎮痛として知られる。しかし、ブラセボ効果の強さやヒトの日常経験への影響、新規治療法の臨床試験の失敗にもかかわらず、プラセボ効果の神経回路基盤は不明なままだった。今回我々は、疼痛緩和の期待による鎮痛が、吻側前帯状皮質(rACC)ニューロンから橋核(前小脳核の1つで、これまで疼痛における機能は確立されていなかった)への投射路(rACC→Pn)によって仲介されていることを示す。我々は、まずマウスで、プラセボ類似の期待による疼痛緩和を生み出す行動アッセイを樹立した。神経活動のin vivoカルシウム画像化と脳切片での電気生理記録により、疼痛緩和の期待がrACC→Pnニューロンの活動を強化し、この経路の神経伝達を増強することが示された。Pnニューロンのトランスクリプトーム解析では、オピオイド受容体が豊富に存在することが示され、さらに疼痛調節での役割が示唆された。rACC→Pn経路を抑制すると、プラセボ鎮痛は阻害されて痛覚閾値が低下したが、この経路を活性するとプラセボ条件付けなしに鎮痛効果が生じた。さらに、小脳プルキンエ細胞が、疼痛緩和の期待下でrACC→Pnニューロンの活動に似た活動パターンを示し、これは認知性痛覚調節での小脳の役割についての細胞レベルの証拠となる。今回の知見により、この前頭皮質–橋–小脳経路を標的とした薬物や神経刺激が、疼痛治療に有効である可能性が開かれた。

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