微生物学:テルモプロテオータ門のメタン生成菌の培養と可視化
Nature 632, 8027 doi: 10.1038/s41586-024-07631-6
メタンは温室効果ガスの中で2番目に多く存在し、その放出源と吸収源を理解することは微生物学、生物地球化学、気候科学における重要な試みである。数十年にわたり、メタン生成(methanogenesis)、つまりメタン産生と共役してエネルギーを保存する能力は、分類学的には、ユーリアーキオータ門という代謝が特殊化したアーキア群に限定的だと考えられてきた。さまざまな生息地から得られたメタゲノムアセンブルゲノム(MAG)において嫌気性アルカン循環のマーカー遺伝子が発見されたことで、ユーリアーキオータ門以外のアーキア系統もメタン生成に関与しているという仮説につながった。今回我々は、ある陸上温泉から採取したアーキアのテルモプロテオータ(Thermoproteota)門内のメタノメチリシア(Methanomethylicia、旧称バーストレターキーオータ〔Verstraetearchaeota〕)綱に属する、Candidatus Methanosuratincola verstraetei LCB70株の培養を行った。増殖実験を、活性測定や安定同位体トレーシング、ゲノム解析、トランスクリプトーム解析と組み合わせることで、この好熱性アーキアはメチル還元型水素資化性メタン生成によって増殖することが実証された。クライオ電子線トモグラフィーにより、Ca. M. verstraeteiは、アーキアラ(archaella)と多数並んだ化学受容体を持つ球状細胞であり、連続した細胞質とS層によって2~3個の細胞を連結する細胞間橋を形成できることが明らかになった。Ca. M. verstraeteiは環境に広く分布することから、このアーキアが、多様な無酸素生息環境での炭素循環において、これまで見過ごされてきた重要な役割を担っている可能性が示唆された。

