分子生物学:複数軌道にわたるオミクス、プラットフォーム、医学領域に広がる第二宇宙時代
Nature 632, 8027 doi: 10.1038/s41586-024-07586-8
近年では民間企業による商業的な多国籍の宇宙飛行が急増しており、地球低軌道においてこれまでにないレベルでの活動が可能になった。それに伴い、史上最多の有人ミッションが宇宙に投入され、探査クラス(1年以上継続する)ミッションの準備が行われている。多くの新興企業、国々、宇宙関連組織による宇宙空間へのこのような急速な進出により、「第二宇宙時代」の幕が開かれた。この時代はまた、現代的なツールと分子生物学や精密医療の手法が初めて宇宙で活用される機会となり、それによって乗組員に対する航空宇宙分野の精密医療が可能になる。これらの生物医学技術とアルゴリズムの用途は多岐にわたり、これには宇宙飛行に対するヒトや微生物の応答を調べるためのマルチオミクスや単一細胞レベル、空間解析の生物学的ツールが含まれる。さらにその用途は、新たな画像化技術、リアルタイム認知機能評価法、生理モニタリング、宇宙飛行士ごとに個別化されたリスクプロファイルの開発にも及ぶ。これらの技術はまた、薬理ゲノミクスの発展に加えて、新規の宇宙飛行バイオマーカーの特定や対応策の開発も可能にする。このPerspectiveで我々は、米国航空宇宙局(NASA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、欧州宇宙機関(ESA)などの宇宙機関による最近の生物医学研究のいくつかを取り上げ、商業宇宙飛行セクター(スペースX社、ブルーオリジン社、アクシオムスペース社、シエラスペース社など)の航空宇宙医療や宇宙生物学への参入、初の航空宇宙医療バイオバンク、そして、地球低軌道を超えて他の惑星や衛星へと踏み出した際の人類の永続的な存在をこれらのツールを用いて確保する、今後予定されているさまざまなミッションについて詳しく述べる。

