計算生物学:アロステリックに切り替え可能なタンパク質集合体のde novo設計
Nature 632, 8026 doi: 10.1038/s41586-024-07813-2
タンパク質機能のアロステリックな調節では、タンパク質へのエフェクターの結合が離れた機能部位でコンホメーション変化を引き起こし、代謝や細胞でのシグナル伝達の制御に中心的な役割を担っている。アロステリックなシステムを設計し、このような「遠隔作用」による調節の基盤となる機構についての理解を深め、エフェクターによる機能調節が可能な合成タンパク質を作出することには、大きな関心が寄せられてきた。しかし、天然のアロステリックタンパク質の特徴である、多数の残基にわたって広がる微小なコンホメーション変化を模倣することは、非常な難問である。今回我々は、古典的なモノー・ワイマン・シャンジューの協奏モデルからヒントを得て、ペプチドを切り替え可能なヒンジモジュールのタンパク質界面への剛体カップリングにより、代替可能なオリゴマー状態の形成が導かれるアロステリーのde novo設計について調べた。この手法は、アロステリックに切り替え可能な多様なシステムを作り出すのに使えることが分かった。その中には、ペプチド結合に応じてサブユニットをとり込んだり放出したりするサイクリックリングや、エフェクターの誘導によって解体される二面体ケージなどが挙げられる。設計されたこれらのアロステリックタンパク質集合体は、ペプチドエフェクターの存在の有無にかかわらず設計モデルに非常によく似ていること、ヘモグロビンのような従来からある天然システムに似たリガンド結合の協同性を追加可能なことが、サイズ排除クロマトグラフィー、マスフォトメトリーおよび電子顕微鏡を使って明らかになった。我々の結果は、タンパク質サブ構造のエネルギー論的性質の全体的なカップリングから、側鎖間の最適化されたアロステリックなコミュニケーション経路なしで、アロステリーが生じ得ることを示しており、アロステリックに作動開始可能な送達システム、タンパク質ナノマシンや細胞フィードバック制御回路を作り出すためのロードマップを提供している。

