Article

計測学:核構造からくる限界を克服する9Beの精密分光

Nature 632, 8026 doi: 10.1038/s41586-024-07795-1

素粒子物理学の標準模型の多くの強力な検証や、精密原子分光を用いた新しい物理学の探索は、原子核の特性に関する知識の欠如によって妨げられている。理想的には、こうした性質は、水素に類似した系で見られることの多い、最も高感度で理論的に最もよく理解されているオブザーバブルの精密測定から導出される可能性がある。こうした測定結果は、原子核の電気的特性については豊富にあるものの、磁気的性質についてはほとんどなく、精密な実験結果は最も軽い原子核に限られている。今回我々は、ペニングトラップ中の高精密分光に利用可能な異なる電荷状態間の比較を用いて通常は核構造によって不確かになる理論計算を検証するという、他に類を見ない可能性が得られる9Beに着目した。具体的には、我々は、水素類似9Be3+の1s超微細構造とゼーマン構造の高精密分光を行った。その結果、有効ツェマッハ(Zemach)半径が500 ppmの不確かさで、そして、裸の核磁気モーメントが0.6 ppbの不確かさという水素以外では類のない精度で決定された。また、今回の結果を、三電子電荷状態である9Be+について行われた測定結果と比較することで、核磁気モーメントの多電子反磁性遮蔽効果の計算をppbのレベルで検証することが可能になった。さらに我々は、超微細分裂の計算に用いた量子電磁力学の手法を検証した。今回の結果は、異なる電子配置にまたがって核磁気特性の高精度の結果を移行させる重要なベンチマークの役割を果たす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度