植物科学:オリゴマー化を介した植物NLRの自己阻害と補因子との結合
Nature 632, 8026 doi: 10.1038/s41586-024-07668-7
ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピート(NLR)タンパク質は、病原体のエフェクターを認識することで、植物免疫において極めて重要な役割を担っている。NLRの過剰な発現は意図しない自己免疫につながり得るので、バランスの取れた免疫応答を維持することが重要である。植物のNRC2(NLR required for cell death 2)は、ほとんどのNLRとは異なり、自己活性化せずに構成的に高発現していることを特徴とする小さなNLRグループに属する。NRC2の自己抑制と活性化の基盤となる機構はまだ解明されていない。今回我々は、トマト(Solanum lycopersicum)のNRC2(SlNRC2)が、高濃度で二量体、四量体、高次オリゴマーを形成することを示す。クライオ電子顕微鏡法によって、これらのオリゴマーではSlNRC2は不活性なコンホメーションをとっていることが示された。二量体化やオリゴマー化は、不活性状態を安定化させるだけでなく、SlNRC2が活性型に組み立てられるのを妨げている。二量体境界面あるいは二量体間境界面での変異は、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)における病原体誘発性の細胞死や免疫を増強した。クライオ電子顕微鏡構造から、意外なことに、SlNRC2のC末端ロイシンリッチリピートドメインの内側表面にイノシトールヘキサキスリン酸(IP6)あるいはイノシトールペンタキスリン酸(IP5)が結合していることが分かり、これは質量分析によって確認された。イノシトールリン酸結合部位の変異は、ベンサミアナタバコにおいて、SlNRC2のイノシトールリン酸結合を妨げ、病原体誘発性でSlNRC2が仲介する細胞死を阻害した。我々の研究は、NLR活性化の負の調節機構を示しており、イノシトールリン酸がNRCの補因子であることを示唆している。

