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分子神経科学:アルツハイマー病脳の単一細胞多領域分析

Nature 632, 8026 doi: 10.1038/s41586-024-07606-7

アルツハイマー病は世界中で認知症の主な原因となっているが、この病気が脳の領域を超えて進行していくことの基礎となる細胞経路については、まだよく分かっていない。今回我々は、高齢者の脳の6つの異なる脳領域の単一細胞トランクリプトームアトラスを報告する。このアトラスには、アルツハイマー病のある人とない人、合わせて48人の死後脳283試料から採取した130万個の細胞が含まれる。我々は、アストロサイトと興奮性ニューロンの領域特異的サブタイプや、視床に固有でカノニカルな抑制性サブクラスとは異なる抑制性介在ニューロン集団など、76の細胞タイプを特定した。我々は、アルツハイマー病脳の特定の脳領域において、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの脆弱な集団が激減していることを明らかにし、これらのニューロンの脆弱性の調節に、Reelinシグナル伝達経路が関与している証拠を示す。さらに我々は、遺伝子モジュールを発見するためのスケーラブルな方法を開発し、この方法を用いて、アルツハイマー病脳で変化している細胞タイプ特異的および領域特異的モジュールを突き止め、多様な病理学的変数と関連するトランスクリプトームの差異をアノテーションした。その結果、アルツハイマー病の病理に対する認知機能レジリエンスに関連したアストロサイトのプログラムが見つかり、アストロサイトでのコリン代謝とポリアミン生合成が、高齢期での認知機能維持と結び付けられた。まとめると今回の研究は、加齢ヒト脳の領域アトラスを開発したものであり、アルツハイマー病の病理に対する細胞の脆弱性、応答、レジリエンスに関する手掛かりを示している。

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