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神経科学:発生期、成人期、疾患におけるヒト脳の血管系の単一細胞アトラス
Nature 632, 8025 doi: 10.1038/s41586-024-07493-y
幅広い脳の病態が血管系に大きく依存しており、脳血管疾患は世界の主要な死因である。しかし、ヒト脳の血管系の細胞的および分子的な構造は、完全に解明されているわけではない。今回我々は、ヒトの胎児および成人患者の計68人に由来する117試料から迅速に単離した内皮細胞、血管周囲細胞、その他の組織由来の細胞からなる60万6380個の細胞について単一細胞RNA塩基配列解読解析を行い、発生期の胎児、成人対照、疾患のある人のヒト脳の血管系についての分子アトラスを構築した。健康な胎児や成人、および脳腫瘍や脳血管奇形を含む、5つの血管依存性中枢神経系(CNS)病態の脳血管系には、広範な分子的不均一性があることが特定された。疾患を持つ人の血管系では、動静脈分化の変化、また保存された調節不全の遺伝子や経路だけでなく、再活性化した胎児の遺伝子や経路も明らかになった。病的な内皮細胞はCNS特異的な特性の喪失を示し、MHCクラスII分子の発現上昇が見られることが明らかになったことから、CNS血管内皮細胞の非定型的な特徴が示された。細胞間相互作用解析から、免疫関連経路や血管新生経路を含む、血管内皮細胞と血管周囲細胞との間のリガンド–受容体クロストークがかなりあることが予測され、これによって脳の神経血管単位(NVU)のシグナル伝達ネットワーク内で血管内皮が中心的な役割を担っていることが明らかになった。我々の単一細胞脳アトラスは、発生期、成人/対照および疾患のある人のヒト脳の血管系の分子構造と不均一性についての手掛かりを示し、また、今後の研究のための強力な参照として役立つ。

