ナノレーザー:原子スケールの光場局在化による特異な誘電体ナノレーザー
Nature 632, 8024 doi: 10.1038/s41586-024-07674-9
光場を原子スケールまで圧縮することによって、個々の分子を直接観測する可能性が開かれ、物理科学と生命科学の両方に革新的な画像化ツールと研究ツールがもたらされる。しかし、回折限界によって、光場がどこまで圧縮できるかに関して、実現可能な光子運動量に基づく基本的な制約が課されている。誘電体構造とは対照的に、プラズモニクスでは金属中の自由電子の振動と光場を結合させることにより、優れた光場閉じ込めが実現される。それにもかかわらず、プラズモニクスは、固有のオーミック損失という問題を抱えており、プラズモニックデバイスの発熱、消費電力の増加、コヒーレンス時間の制限につながっている。今回我々は、光回折限界を破るモード体積を示す、特異な誘電体ナノレーザーを提案し、実証した。我々は、マクスウェルの方程式からの導出により、誘電体ボウタイナノアンテナ内に維持される電場の特異点が運動量の発散に由来することを発見した。特異な誘電体ナノレーザーは、誘電体ボウタイナノアンテナをツイスト格子ナノ共振器の中心に一体化することによって構築された。この相乗的な一体化によって回折限界が乗り越えられ、特異な誘電体ナノレーザーは、約0.0005λ3(λは自由空間波長)という極めて小さいモード体積と、1 nmスケールという非常に小さい形状サイズを実現した。我々は、1 nmの間隙を持つ所望の誘電体ボウタイナノアンテナを作製するために、エッチングと原子堆積が関わる2段階工程を開発した。今回の研究は、レーザーデバイスにおいて原子スケールの光場局在を実現する能力を例示しており、これによって超精密測定、超解像画像化、超高効率のコンピューティングと通信、極端光場局在の領域における光–物質相互作用を探求する道が開かれる。

