Article
生化学:CRISPR–Cas複合体を解体する抗CRISPR
Nature 632, 8024 doi: 10.1038/s41586-024-07642-3
生体系では、高分子複合体の活性をオフにしなければならないことがある。従って、多種多様のタンパク質阻害因子がこの目的のために進化してきた。これらの阻害因子は、重要な相互作用の立体阻害、主要な残基あるいは基質の酵素的修飾、翻訳後修飾の摂動など、多様な機構を介して働く。抗CRISPR(CRISPR–Cas系の活性を阻止するタンパク質)は、報告されている阻害因子の中で最も大きなグループの1つであり、その90を超えるファミリーはさまざまな機構を介して機能する。今回我々は、抗CRISPRのAcrIF25についてその特徴を明らかにし、AcrIF25が、完全に組み立てられたエフェクター複合体を解体することで、I-F型CRISPR–Cas系を抑制することを示す。AcrIF25は、この複合体の重要なCRISPR RNA結合構成要素(6つのCas7サブユニットからなる)に結合し、それらをRNAから引き離す。構造学的研究および生化学的研究から、AcrIF25はこの複合体の一方の端から、一度に1つずつCas7サブユニットを除去することが示された。注目すべきことに、この機能は明らかな酵素活性なしに達成された。我々の知る限り、AcrIF25は、外部エネルギー源なしで、安定した大きな高分子複合体を解体するタンパク質の最初の例である。従って、AcrIF25は生物工学への応用に用いられる可能性がある高分子複合体阻害因子のパラダイムを確立している。

