がん治療:ネオアンチゲン特異的な細胞傷害性Tr1 CD4 T細胞はがん免疫療法を抑制する
Nature 632, 8023 doi: 10.1038/s41586-024-07752-y
CD4+ T細胞は、腫瘍免疫を増強することも抑制することもある。制御性T細胞が抗腫瘍応答を妨げることはずっと以前から知られているが、最近になって、他のCD4+ T細胞がこの応答の抑制に関わっていることが示唆された。しかし、抑制に関わっているT細胞の性質や機能は明らかになっていない。今回我々は、MHCクラスI(MHC-I)ネオアンチゲン(neoAg)と用量をさまざまに変えた腫瘍由来MHC-IIneoAgを含むワクチンを用いて、低用量のMHC-II拘束性ペプチドを含むワクチン(LDVax)は腫瘍拒絶を促進するが、同じMHC-II neoAgを高用量含むワクチン(HDVax)は拒絶を抑制することを見いだした。HDVaxによって誘導された抑制性細胞の特徴を調べたところ、これらの細胞はIL-10、グランザイムB、パーフォリン、CCL5およびLILRB4を発現する1型制御性T(Tr1)細胞であることが明らかになった。腫瘍特異的なTr1細胞は、抗PD1、LDVax、あるいは養子移入された腫瘍特異的エフェクターT細胞によって誘導される腫瘍拒絶を抑制した。機構的には、HDVaxによって誘導されたTr1細胞は、MHC-II腫瘍抗原を提示する従来型樹状細胞1型(cDC1)を選択的に殺すことで、腫瘍内のcDC1の数を減少させた。次いで、この抑制を克服するための方法、具体的には、抗LILRB4阻害を介する方法、CD8指向性のIL-2ムテインを使用する方法、あるいはcDC2/単球を標的として喪失させる方法について実証実験を行った。まとめるとこれらのデータは、末梢寛容を維持している細胞傷害性Tr1細胞は、抗腫瘍応答も抑制し、それによってがんの免疫制御を妨げるように機能することを示している。

