遺伝学:世界的に多様なヒトコホートにおける遺伝子発現の多様性の要因
Nature 632, 8023 doi: 10.1038/s41586-024-07708-2
遺伝子発現やスプライシングに影響を及ぼす遺伝的多様性は、表現型の多様性の重要な要因である。これらの結び付きをヒトにおいて調べる研究は非常に貴重であるが、参加者がヨーロッパ系に大きく偏っているため、これが一般化の制約となり、進化研究を妨げている。今回我々は、これらの制約に対処するために、1000ゲノムプロジェクトの731人(5の大陸グループに含まれる26の集団にまたがる)に由来するリンパ芽球様細胞株についてのオープンアクセスのRNA塩基配列解読データセットであるMAGEを開発した。遺伝子発現(92%)とスプライシング(95%)の大部分の多様性は、集団間よりも集団内に分布しており、これはDNA塩基配列の多様性を反映していた。我々は、遺伝的バリアントと、近傍遺伝子の発現(シスの発現量的形質座位〔eQTL〕)やスプライシング(シスのスプライシングQTL〔sQTL〕)の間の関連をマッピングした。その結果、1万5000を超える推定の原因eQTLと1万6000を超える推定の原因sQTLが特定され、これらには関係するエピゲノムシグネチャーが豊富に見られた。これらのうち、1310のeQTLsと1657のsQTLsは、主に過小評価集団に固有のものである。我々のデータはさらに、原因eQTL効果の規模と方向性が集団間で非常に一貫していることを示している。また、これまでの研究で観察された見かけの「集団特異的」効果の大部分は、検出されなかった同一遺伝子内の、低解像度または別の独立したeQTLによって主に駆動されていた。まとめると我々の研究は、ヒト遺伝子発現の多様性についての理解を深め、ヒトゲノムの進化と機能を研究するための包括的な情報資源となる。

