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統計物理学:二次元イジングスピングラスの量子転移
Nature 631, 8022 doi: 10.1038/s41586-024-07647-y
量子アニーラーは、非常に困難な計算問題、典型的にはスピングラスが関与する問題を解くことを目的とした商用計算機である。鉄系金属をゆっくり冷却する冶金学におけるアニーリングとちょうど同じように、量子アニーラーは、可能な限り低温でゆっくり横磁場を除去することにより、適切な解を探索する。磁場を除去することで量子ゆらぎは減少するものの、これによって系は、(大きい磁場での)無秩序相と(小さい磁場での)スピングラス相を分離する臨界点を強制的に通過する。この相転移の完全な理解は、いまだ得られていない。議論されている極めて重要な疑問は、基底状態と第一励起状態の間のエネルギーギャップが閉じることに関するものである。古典的なコンピューターと比較して指数関数的な高速化を実現できるという全ての期待は、ギャップがスピンの数とともに代数的に閉じるという仮定に基づいている。しかし、繰り込み群計算では、そうではなく、無限ランダムネスの固定点が存在すると予測されている。今回我々は、極限スケールの数値シミュレーションを通じてこの論争を解決し、両者がいずれも真実の一端を捉えていることを見いだした。臨界点でギャップが閉じるのは、確かに超代数的であるものの、可能な励起の対称性を制限するならば依然として代数的である。この対称性の制限は(少なくとも名目上は)実験により実現可能であるので、量子アニーリングのパラダイムへの希望は依然としてあると言える。

