フォノン:ファンデルワールスヘテロ構造によるテラヘルツ・フォノンエンジニアリング
Nature 631, 8022 doi: 10.1038/s41586-024-07604-9
ギガヘルツ周波数におけるフォノンエンジニアリングは、マイクロ波音響フィルター、音響光学変調器、量子トランスデューサーの基礎をなしている。テラヘルツ・フォノンエンジニアリングは、より高い温度で動作する量子回路だけでなく、より高い帯域幅や速度の音響フィルターや変調器につながる可能性がある。テラヘルツ・フォノンエンジニアリングには大きな可能性があるにもかかわらず、その方法は、サブナノメートル精度で必要な材料制御を達成し、テラヘルツ周波数で効率的なフォノン結合を達成することが困難であるために、制限されてきた。今回我々は、ファンデルワールスヘテロ構造における原子層の精密集積化によるテラヘルツフォノンの効率的な生成、検出、操作を実証する。我々は、数層グラフェンを、フェムト秒近赤外パルスを最大3 THzのスペクトル成分の音響フォノンパルスに変換する超広帯域フォノントランスデューサーとして用いた。センサーとしては、単層WSe2を用いた。励起子–フォノン結合と強い光–物質相互作用によって高忠実度読み出しが可能になった。我々は、単一ヘテロ構造においてこうした機能を組み合わせ、入射機械波に対する応答を検出することによって、テラヘルツフォノニック分光法を実行した。我々はこのプラットフォームを用いて、高Qテラヘルツフォノニック共振器を実証し、六方晶窒化ホウ素に埋め込まれた単層WSe2がテラヘルツフォノンの伝送を効率的に遮蔽できることを示す。今回の測定結果とナノメカニカルモデルを比較することによって、ヘテロ界面における力定数が得られた。今回の結果は、超広帯域での音響フィルターや変調器向けのテラヘルツ・フォノニックメタマテリアルを可能にするとともに、熱工学への新たな道を開く可能性がある。

