Article

物性物理学:ファンデルワールスヘテロ構造における調整可能なラッティンジャー液体系の画像化

Nature 631, 8022 doi: 10.1038/s41586-024-07596-6

一次元(1D)の相互作用する電子は、より高次元のフェルミ液体とは本質的に異なる性質を持つラッティンジャー液体として記述されることが多い。物質系では、1D電子は、1D鎖内および1D鎖間の電子相互作用によって調整可能なエキゾチックな量子現象を示すが、それらの実験的な特性評価は難題となる可能性がある。今回我々は、ファンデルワールスヘテロ構造における積層ドメイン壁(DW)が、孤立した配列および結合した配列の両方を含む、広範に調整可能なラッティンジャー液体系を形成することを実証する。我々は、走査型トンネル顕微鏡を用いて、電子密度によって調整されたさまざまな相互作用領域でのDWラッティンジャー液体の発展を画像化した。低キャリア密度における単一DWは、スピンインコヒーレントなラッティンジャー液体と一致するウィグナー結晶化の影響を非常に受けやすい一方、中程度の密度では、磁気弾性結合が増強されるため、二量体化したウィグナー結晶が形成される。DWの周期的配列は、鎖内相互作用と鎖間相互作用の相互影響を示し、この相互影響から新しい量子相が生じる。低電子密度では、鎖間相互作用が支配的であり、位相固定された1Dウィグナー結晶から構成された二次元(2D)電子結晶がスタッガード配置で誘起される。電子密度が増加すると、鎖内ゆらぎポテンシャルが支配的になる結果、電子スメクチック液晶相が生じ、この相では、電子は鎖方向に沿って代数的相関減衰を伴って秩序化するが鎖間では無秩序化する。今回の成果は、2Dヘテロ構造における積層DWから、ラッティンジャー液体の物理を探求する機会が得られることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度