考古学:インドネシアの物語性のある洞窟壁画は5万1200年以上前に描かれた
Nature 631, 8022 doi: 10.1038/s41586-024-07541-7
これまでの年代研究から、インドネシアのスラウェシ島に既知最古級の岩絵が複数存在することが示されている。これら一連の研究は、南スラウェシ州のマロス県およびパンケップ県の鍾乳洞にある岩絵を覆う方解石堆積物の、溶液を用いたウラン系列法に基づくものであった。今回我々は、この手法の新たな応用である「レーザーアブレーション・ウラン系列画像化法」を用いて、このカルスト地帯の最初期の洞窟壁画の一部について年代の再検討を行うとともに、マロス・パンケップ地域の別の洞窟の様式的に類似したモチーフの年代を明らかにした。この方法では空間的な精度が向上しており、結果として、以前年代が推定された壁画について、より古い最小年代が得られた。リアン・ブルシポン4(Leang Bulu’ Sipong 4)の狩猟場面を描いた壁画は、当初は旧来の手法で最小年代が4万3900年前とされたが、今回の方法では最小年代が5万200 ± 2200年前と、従来の想定から4040年以上さかのぼることが示された。我々はまた、今回の画像化法を用いて、新たに発見されたリアン・カランプアン(Leang Karampuang)の洞窟壁画の最小年代を5万3500 ± 2300年前と推定した。5万1200年以上前に描かれたこの物語性のある構図は、ヒトに似た像がイノシシと関わっている様子が描写されており、具象芸術、そして視覚的な物語表現の既知の残存例としては世界最古のものとなる。今回の知見は、擬人的な像と動物の具象的な描写が、その場面構成における表現と同様に、現生人類(ホモ・サピエンス)の描画の歴史において、これまでの認識よりも古い起源を持つことを示している。

