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生化学:NAおよびDNAに結合するヘリックス–ターン–ヘリックスタンパク質によるファージの抗CRISPR制御

Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07644-1

あらゆる生物で、遺伝子発現の調節は細胞の要求に合うように調整されなくてはならず、それにはヘリックス–ターン–ヘリックス(HTH)ドメインタンパク質が関与する場合が多い。例えば、細菌とバクテリオファージの軍拡競争では、感染直後にファージの抗CRISPR(acr)遺伝子が迅速に発現され、CRISPR–Casによる防御を回避することが可能になる。次いで、おそらく過剰な発現から生じる適応コストを下げるために、HTHドメイン含有抗CRISPR関連(Aca)タンパク質によって転写が抑制される。しかし、単一のHTH含有調節因子が抗CRISPR産生を調節し、ファージゲノムコピー数の増加とacr mRNAの蓄積とを協調させる仕組みは解明されていない。今回我々は、調節因子Aca2のHTHドメインが、DNAとの結合を介して転写段階でAcr合成を抑制するのに加えて、保存されたRNAのステムループ構造に結合してリボソームの接近を妨げることにより、mRNAの翻訳も阻害することを明らかにする。約40 kDaのAca2–RNA複合体のクライオ電子顕微鏡構造から、可変性のHTHドメインがDNA結合部位とRNA結合部位を特異的に識別する仕組みが明らかになった。このような組み合わせ調節様式はAca2ファミリーに広く見られ、迅速なファージDNA複製の際にも、有害なacr遺伝子の過剰発現なしにCRISPR–Cas阻害を促進する。HTHドメイン含有タンパク質が広く存在していることを考えると、もっと多数のHTHドメイン含有タンパク質が、DNAとRNAの両方への結合によって調節制御を行っているものと予測される。

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