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分子生物学:ヘテロクロマチン形成開始ではセントロメア末端の非連続的なモチーフが標的となる

Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07640-5

セントロメア領域両端のヘテロクロマチン領域は染色体に不可欠な成分で、ヒストンH3のリシン9(H3K9)メチル化標識が特徴である。しかし、脊椎動物ではセントロメア末端領域にH3K9特異的ヒストンメチル基転移酵素を引き寄せるのが何なのかはいまだに不明であり、同様に、高度に保存されたDNA塩基配列がないにもかかわらず、さまざまな生物種でセントロメア末端領域が同じH3K9メチル化標識を持つ理由も不明である。今回我々は、ジンクフィンガータンパク質ZNF512とZNF512Bが、DNAに直接結合することによってセントロメア末端領域に特異的に局在することを明らかにする。ZNF512とZNF512Bはどちらもそれだけで、異所的に標的とした反復配列領域とセントロメア末端領域でのde novoヘテロクロマチン形成を開始させるが、それはSUV39H1とSUV39H2(SUV39H)を直接動員して、H3K9メチル化を触媒するからである。SUV39H2は、H3K9のトリメチル化への寄与が大きいが、SUV39H1は遺伝子発現抑制への寄与が大きいようで、それはおそらくHP1タンパク質と選択的に相互作用するためであろう。多様な生物種由来のZNF512とZNF512Bが他の脊椎動物のセントロメア末端領域を特異的に標的にできるのは、ZNF512とZNF512Bのジンクフィンガー間のリンカー残基が異例なほど長いためで、これが不連続に配置された3つのヌクレオチドからなるトリプレットの各ジンクフィンガーによる認識に柔軟性をもたらしている。今回の研究では、長年にわたって解決されなかった2つの疑問、すなわち、構成的なヘテロクロマチンの形成がどのようにして始まるのかという疑問と、セントロメア末端領域の一見多様な配列が脊椎動物で保存されてきた同じ装置の標的になるのはどのような仕組みによるのかという疑問が解決された。

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