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がん治療:NBS1のラクチル化は効率的なDNA修復と化学療法抵抗性に必要である

Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07620-9

がんの特徴の1つであるワールブルク効果は、がん細胞が嫌気的グルコース代謝を好気的グルコース代謝より優先することを指す。その結果、がん細胞内には嫌気的解糖の最終産物である乳酸が大量に蓄積する。しかし、がん代謝が化学療法への反応やDNA修復全般に対してどのように影響するかは、完全には分かっていない。本論文で我々は、乳酸によって引き起こされるNBS1のラクチル化が、相同組換え(HR)を介したDNA修復を促進することを報告する。NBS1のリシン388(K388)のラクチル化は、MRE11–RAD50–NBS1(MRN)複合体の形成とDNA二本鎖切断部位でのHR修復タンパク質の集積に必須である。さらに、TIP60は、NBS1リシンラクチルトランスフェラーゼであり、NBS1 K388ラクチル化の「書き込み」を担うこと、またHDAC3がNBS1を脱ラクチル化する酵素であることが明らかになった。高レベルのNBS1 K388ラクチル化はネオアジュバント化学療法を受けた患者の転帰不良を予測し、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)の遺伝的枯渇もしくはスチリペントール(抗てんかん治療で臨床利用されているLDHA阻害剤)によって乳酸を減少させると、NBS1 K388ラクチル化が阻害されてDNA修復効率が低下し、化学療法抵抗性が克服された。まとめると本研究は、NBS1ラクチル化が化学療法抵抗性の一因であるゲノム安定性の重要な機構であり、乳酸産生の阻害が有望ながん治療戦略であることを明らかにしている。

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