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生物地球化学:世界の森林炭素吸収は維持されてきた

Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07602-x

陸上生態系による二酸化炭素(CO2)の吸収は、気候変動を調節する上で重要である。今回我々は、陸上のCO2吸収に対する森林の寄与について、地表の情報に基づく長期評価を行うために、30年にわたる亜寒帯、温帯および熱帯のバイオームで得られた森林のin situデータを統合した。その結果、世界の森林による炭素吸収は一定であり、1990年代から2000年代には3.6 ± 0.4 Pg C yr−1、2010年代には3.5 ± 0.4 Pg C yr−1であることが分かった。このように世界全体では定常的であるにもかかわらず、我々の解析からは、主要なバイオーム別に見ると変化があることが明らかになった。炭素吸収は森林面積が増加したために温帯林と(+30 ± 5%)再生した熱帯林で(+29 ± 8%)増加したが、亜寒帯林と(−36 ± 6%)、熱帯原生林では(−31 ± 7%)、それぞれ撹乱の激化と原生林の面積の喪失の結果として減少した。炭素収支に関する研究は、陸上全体での吸収は増加していることを示しており、これは森林以外の陸上生態系による吸収の増加を意味している。世界全体の森林による吸収は化石燃料による排出量(1990〜2019年で7.8 ± 0.4 Pg C yr−1)のほぼ半分に匹敵している。しかしながら、その吸収分の3分の2は、熱帯の森林伐採(1990〜2019年で2.2 ± 0.5 Pg C yr−1)による放出が打ち消している。森林の吸収は世界全体では30年の間、地域的変化にもかかわらず減少せずに耐えてきたが、森林の老化、継続する森林伐採、より強い撹乱の発生などによって減退する可能性がある。炭素吸収を守るために、森林伐採を制限し、森林の回復を促進させ、材木の収穫方法を改善するための土地管理に関する施策が必要となる。

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