創薬:ナロキソンと協同的に作用するμオピオイド受容体調節薬
Nature 631, 8021 doi: 10.1038/s41586-024-07587-7
μオピオイド受容体(μOR)は鎮痛の確立した標的だが、従来のオピオイド受容体作用薬は深刻な副作用、特に嗜癖や呼吸抑制を引き起こす。これらの問題が、非常に強力な合成オピオイドであるフェンタニルにより引き起こされている現在のオピオイド過剰摂取の蔓延に寄与してきた。μORの負のアロステリック調節剤(NAM)は、オピオイド関連死を防ぐ有用なツールとして役に立つ可能性があるが、有望と思われる化学的骨格構造は分かっていない。今回我々は、DNAコード化ライブラリーを用いて不活性型μORをターゲットにした化合物スクリーニングを行った。またその際、活性型μOR、Gタンパク質およびアゴニスト結合型受容体でカウンタースクリーニングを実施することで、構造選択的なNAMがヒットするように「誘導した」。我々は、不活性型μORに高い親和性と選択性を有し、重要なオピオイド過剰摂取拮抗分子であるナロキソンへの親和性を増強するNAMを発見した。このNAMは、ナロキソンと協同的に作用し、オピオイド受容体作動薬のシグナル伝達を強力に阻害する。クライオ電子顕微鏡を用いて、我々は、このNAMが、ナロキソンが直接結合する細胞外前庭上の部位へ結合して、2番目と7番目の膜貫通ヘリックスの細胞外部分を明確な不活性型構造に安定化させることで薬効を示すことを明らかにした。このNAMにより、オルソステリックリガンドの反応速度が治療的に望ましい方向に変化し、低用量のナロキソンと協同することでin vivoでモルヒネやファンタニルにより引き起こされる行動への影響を有効に阻害して離脱症状を最小化することを明らかにした。我々の結果から、μORの負のアロステリック調節の機構への詳細な構造的知見が提供され、これがin vivoでどのように利用可能かが示された。

