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構造生物学:BDQとTBAJ-587による結核菌とヒトのATP合成酵素の阻害
Nature 631, 8020 doi: 10.1038/s41586-024-07605-8
ファースト・イン・クラスのジアリルキノリン系抗結核薬であるベダキリン(BDQ)と、その類似体であるTBAJ-587は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のATP合成酵素を阻害することで、その成長と増殖を防ぐ。しかし、BDQはヒトのATP合成酵素も阻害する。現在、これらの化合物が結核菌ATP合成酵素あるいはヒトATP合成酵素と相互作用する仕組みは明らかになっていない。今回我々は、BDQやTBAJ-587と結合した状態および結合していない状態の結核菌ATP合成酵素、そしてBDQに結合した状態のヒトATP合成酵素のクライオ電子顕微鏡構造を示す。これら2つの阻害剤は、サブユニットのaやcリングと、結核菌ATP合成酵素のリーディング部位、サブユニットcのみの部位、ラギング部位で相互作用することから、BDQとTBAJ-587が同様の作用様式を持つことが分かった。これらの化合物のキノリン単位およびジメチルアミノ単位は、このタンパク質と広範囲に接触する。BDQと複合体を形成したヒトATP合成酵素の構造から、BDQ結合部位は結核菌ATP合成酵素のリーディング部位に観察されるのと同様で、キノリン単位もこのヒト酵素と広範囲に相互作用することが明らかになった。この研究により、BDQ結合様式の観点から、ヒトATP合成酵素と結核菌ATP合成酵素の間の類似性と差異についての研究者の理解が深まり、抗結核薬としての新規のジアリルキノリン系化合物の合理的な設計が可能になるだろう。

