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ソフトマテリアル:溶媒によるガラス状ゲルの靭性向上
Nature 631, 8020 doi: 10.1038/s41586-024-07564-0
ガラス状ポリマーは、一般的に剛性と強度が高いものの、伸展性に限界がある。ガラス状ポリマーは、溶媒で膨潤させることによって、柔らかく低強度であるものの伸展性の高いゲルにすることができる。このような著しい特性変化は、ポリマー–ポリマー相互作用を弱めつつ鎖間の自由体積を増大させる溶媒に起因している。今回我々は、極性ポリマーを適切な濃度のイオン液体で溶媒和させること(すなわち、イオノゲル)によって、ガラスとゲル両方の望ましい特性を併せ持つガラス状ゲルと呼ばれる独自の種類の材料が得られることを示す。イオン液体は、従来の溶媒(水など)が存在しないにもかかわらず、自由体積、従って伸展性を増大させる。ただし、イオン液体は、ポリマー鎖間に強い非共有結合性架橋を豊富に形成し、室温で、剛性と靭性の高いガラス状の均一ネットワークを生成させる(すなわち、相分離を起こさない)。このガラス状ゲルは、54 wt%以上が液体であるにもかかわらず、非常に高い破壊強度(42 MPa)、靭性(110 MJ m−3)、降伏強度(73 MPa)、ヤング率(1 GPa)を示す。これらの値はポリエチレンなどの熱可塑性材料のものと同様だが、このガラス状ゲルは熱可塑性材料とは異なり、最高670%のひずみまで変形可能で、加熱すると急速に完全回復する。今回の透明材料は、ワンステップ重合で形成され、優れた接着特性、自己修復特性、形状記憶特性を有する。

