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細胞生物学:小胞体–細胞膜の接触の勾配が細胞の移動を方向付ける
Nature 631, 8020 doi: 10.1038/s41586-024-07527-5
定方向への細胞移動は、細胞内シグナル伝達の前部–後部の極性化を原動力として起こる。受容体チロシンキナーゼや他の入力が局所的なシグナルを活性化し、それが引き金となって前部で膜の突出が起こる。同程度に重要なのが遠距離の阻害機構で、これが後部でのシグナル伝達を抑制して、前部が複数形成されるのを防いでいる。しかし、この機構がどのようなものかは分かっていない。今回我々は、単一で移動する細胞と集団で移動する細胞において、小胞体–細胞膜(ER–PM)の接触部位が極性化していることを報告する。後部でこのER–PM接触部位の密度が高まると、ERに存在するPTP1BホスファターゼがPM基質により多く接近できることになり、そのため受容体シグナル伝達が前部に限定され、細胞の移動が方向付けられる。ER–PM接触の極性化は微小管が調節するERの極性化が原因で、前部にはRTN4が豊富で強く湾曲したERが、後部にはCLIMP63を多く含む扁平なERが見られる。その結果、ERの湾曲に勾配が生じ、前部でのみER–PMの小さくて不安定な接触部位が生じる。これらの接触が後ろへと流れ、後部では大きくて安定な接触が成長し、前部から後部へのER–PM接触の勾配が形成される。これらの知見を総合すると、ER–PM接触の勾配によって生じた構造的な極性が細胞のシグナル伝達を極性化させ、細胞の移動を方向付け、長引かせることが示唆される。

