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量子物理学:双極性分子のボース・アインシュタイン凝縮の観測

Nature 631, 8020 doi: 10.1038/s41586-024-07492-z

量子力学的法則に支配された粒子の集合は、興味深い創発的挙動を示す。原子量子気体、液体ヘリウム、量子物質中の電子は全て、その組成と相互作用に起因して際立った性質を示す。極低温双極性分子の量子縮退した試料は、新しい物質相の実現と、量子シミュレーションや量子計算への新たな道に向けて有望である。しかし、急速な損失が、衝突遮蔽の手法によって低減された場合でも、現状ではボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を実現する蒸発冷却の妨げとなっている。今回我々は、双極性分子のBECを実現したことを報告する。我々は、衝突遮蔽の増強を通じて二体損失および三体損失を強く抑制することにより、ナトリウム–セシウム分子を量子縮退まで蒸発冷却し、相転移を経てBECを得た。このBECは、位相空間密度が1を超えると二峰性分布として現れる。凝縮体割合が60(10)%、温度が6(2) nKのBECが生成され、これらは2秒近い寿命にわたって安定であることが見いだされた。今回の成果は、現状では手の届かない領域における双極性量子物質の探求への扉を開くものであり、エキゾチックな双極性液滴、自己組織化結晶相、光格子中の双極性スピン液体の創出に有望である。

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