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疫学:華南海鮮卸売市場におけるSARS-CoV-2のサーベイランス

Nature 631, 8020 doi: 10.1038/s41586-023-06043-2

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因病原体である重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、2019年12月に出現した。その起源はいまだに不明である。COVID-19の初期のヒト症例の多くは、華南海鮮卸売市場との接触歴が報告されていた。本論文で我々は、この市場内でのSARS-CoV-2のサーベイランス結果を示す。2020年1月1日の市場閉鎖の後に、この環境から923件の試料が採取された。1月18日以降には、18種の動物に由来する457件の試料が、冷蔵庫や冷凍庫内の売れ残り、野良動物のスワブ、魚の水槽内の生物などから採取された。リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)とハイスループット塩基配列解読(Bowtie2による解析)を用いて、SARS-CoV-2が74件(RT-qPCR:70件、Bowtie2:4件)の環境試料で検出されたが、動物試料では全く検出されなかった。3件の試料から生きたウイルスの単離に成功した。市場由来のウイルスは、ヒトからの単離株であるHCoV-19/Wuhan/IVDC-HB-01/2019とヌクレオチド同一性が99.99〜100%共通していた。SARS-CoV-2系統A(8782Tおよび28144C)が1件の環境試料に見つかった。SARS-CoV-2陽性および陰性環境試料のRNA塩基配列解読解析によって、市場には種々の脊椎動物属が豊富に存在したことが示された。このように、本研究によってCOVID-19のアウトブレイク(集団発生)の初期段階での華南海鮮卸売市場におけるSARS-CoV-2の分布や蔓延についての情報が明らかとなった。

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