免疫学:ピロトーシス細胞からのオキシリピン類と代謝物は組織修復の促進因子として働く
Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07585-9
ピロトーシスは細胞が溶解する細胞死であり、感染の拡大を制限し、無菌性の炎症性疾患および自己免疫疾患の病理にも関連している。ピロトーシスでは、インフラマソームの活性化とカスパーゼ-1の関与が細胞死につながり、それとともに炎症性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)の成熟と分泌が起こる。組織炎症の促進ではIL-1βが及ぼす影響が支配的であるため、ピロトーシス細胞から放出される他の因子が影響しているかどうかははっきりしていない。本研究で我々は、IL-1βもしくはIL-1αを放出することなくピロトーシスを起こすようにマクロファージを誘導する系(Pyro−1と命名)を用いて、Pyro−1セクレトームが予想外の有益な影響を及ぼすことを明らかにした。我々はまず、Pyro−1の上清が、遊走と細胞増殖、創傷治癒に関連する遺伝子シグネチャーを上方調節することを見いだした。この遺伝子シグネチャーと一致して、Pyro−1上清は初代繊維芽細胞やマクロファージの移動を促進し、in vitroで創傷閉鎖を速め、in vivoでは組織修復を改善した。機構研究では、Pyro−1上清のリピドミクスとメタボロミクスにより、オキシリピン類と代謝物の両方の存在が明らかになり、これらは創傷治癒の促進と関連していた。次いで、オキシリピン類に含まれるプロスタグランジンE2(PGE2)に注目して、その合成がピロトーシス中にカスパーゼ-1活性化の下流でシクロオキシゲナーゼ2の活性によりde novoに誘導されること、またPGE2合成はピロトーシスの後期に起こり、その放出はピロトーシス中にガスダーミンDが形成した小孔に依存することを見いだした。ピロトーシス代謝物は、創傷部位への免疫細胞の浸潤と、CD301+マクロファージへの極性化に関連していた。まとめるとこれらのデータは、ピロトーシスのセクレトームには治療に使用できそうな組織修復特性を持つオキシリピン類と代謝物が含まれているという考え方を推し進めるものだ。

